さて,何回かに分けて,
現在の冷媒が及ぼす自然環境への影響を解説していきます.
今回は冷媒とオゾン層の破壊についてです.
まず冷媒って何?と言う人は,
こちらがオススメです.
おさらい
エアコンや冷蔵庫に使われていた冷媒は,
炭素C,フッ素F,塩素CLからできた化合物でした.
このメリットはなんと言っても燃えないことと毒性がないこと.
非常に安全に使えるわけですね.
当然世界中に広く普及しました.
オゾン層の破壊が指摘される
しかし,1974年にはフロンのなかの塩素が,
オゾン層を壊すのではないかと言うことが指摘されます
そしてそれは事実でした.
世界的な枠組み,モントリオール議定書
そこで,あーでもないこーでもないとの議論を重ね,
1987年にカナダのモントリオールにて,議定書が採択されました.
ちなみに,この議定書は,その後改正につぐ改正が行われ,
今でも(2018年)でもどんどん新しい項目が追加されています.
それはまたいずれ話したいと思います.
モントリオール議定書は,ざっくり言ってしまうと,
今後,段階的に塩素が含まれた冷媒を禁止していくと言うものです.
ちなみに,日本では,すでに塩素を含む冷媒を使用した新製品は発売できません.
メンテナンス用なら販売できます.
そして,2020年には日本では塩素を含む冷媒は製造と輸入が禁止されます.
中国やら発展途上国は2020年より後も塩素を含む冷媒を使えますが,
2030年に同様に禁止されます.
モントリオール議定書の発効から43年後にようやく全面的に禁止になるわけです.
冷媒というとエアコンや冷蔵庫に使われますが,
これらは食の安全など人間が生きていくためには必須のものですので,
これだけ長い時間を掛けないと禁止できないんですね.
塩素を使わない冷媒の登場
さて,ではここで,塩素を使わない冷媒を新に開発する必要が出てきました.
ということは,冷媒の分子構造としては,
炭素C,フッ素F,水素Hが登場することになります.
塩素を使うと化学的に非常に安定して良いのですが,
もう使えません.
でもこれで何とかオゾン層の破壊は食い止められそうです.
おわりに
さて,こんな感じで,冷媒とオゾン層の破壊について説明しました.
最近のニュースを見てみると,
オゾンホールが小さくなってきた,と言うニュースもあれば,
いやいや,オゾン層はまだ破壊されている,と言うニュースもあります.
まだまだオゾン層破壊の問題はおわっていないと見るべきでしょう.