冷媒解説

R410Aってどんな冷媒?

どんなところに使われているか

R410Aはルームエアコン,オフィス店舗用エアコン,ビルマルチ空調機,チラーなど,多くの冷凍空調機器に使用されています.

このうち,ルームエアコンは2012年に,新しい冷媒であるR32が製品化されてから,徐々にR32に移っています.最近ではほぼすべてのルームエアコンがR32になりました.

環境負荷(GWP,ODP)

R410AのODPは0です.塩素が使用されていないので0ですね.
R410AのGWPは2090です.GWPはCO2の2090倍と非常に高いものです.そのため,環境負荷が大きいと言えます.

 www.jfma.org 

フルオロカーボン類の環境・安全データ 一覧
http://www.jfma.org/database/table.html

安全性(毒性,燃焼性)

R410AはASHRAE34規格ではA1に属します.
つまり,毒性は無く,不燃です.

 www.jfma.org 

フルオロカーボン類の環境・安全データ 一覧
http://www.jfma.org/database/table.html

特徴(メリット,デメリット)

R410Aのメリットの1つは不燃であることです.
このため比較的安全に使用できます.

もう一つのメリットは,圧力が比較的高く,密度が高いことです.
このため,細い配管でたくさんの冷媒を輸送できます.つまり,細い配管=機器のコストが安い,となり比較的コンパクト省コストであっても,高出力のエアコンの製作が可能となります.

R410Aのデメリットは,GWP(地球温暖化係数)が大きいことです.2090もあります.そのため,将来的には規制されて使用できなくなると考えられています.GWPが高い理由は,R410Aは混合冷媒ですが,このうち半分を占めるR125のGWPが非常に高い(3700)ためです.

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化学的にはどんなものか

R410Aは混合冷媒です.そのため,複数の冷媒が混ざっています.成分は以下の通りです.私の目線で混合した目的を推定して書いてみました.

冷媒 分子構造 mass% 混合した目的(筆者の推定です)
R32 50 機器がコンパクトに設計できる.なるべく多く使いたい.
R125 50 不燃のため,燃焼性を下げられる.しかしGWPが大きいので最小限にしたい.

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その他(感想)

R410Aって,不燃性で非常に安全だし,エアコンの性能もそこそこ高いという,非常に優秀な冷媒です.ただし,最大の欠点はGWPが大きいこと
いまはR410Aは使えますが,将来的にはR410Aは規制対象となり,使用できなくなります.私が冷凍空調関係の研究を始めたときに,最初に取り扱った冷媒はR410Aでした.そのため思い入れのある冷媒です.それが使えなくなることは残念ですが,これも時代の流れですね.