冷媒解説

R744(CO2,二酸化炭素)ってどんな冷媒?

どんなところに使われているか

R744(CO2)は給湯機,コンデンシングユニット,熱輸送冷媒,スプレーなどの噴射剤に使用されています.
特に給湯機との相性は良く,エコキュートの冷媒はR744です.またR744はGWPが非常に低く,毒性もないため,放出することが前提のスプレーの噴射剤としても適しています.

さらに最近ではR744の「燃えない」という性質を利用して,混合冷媒燃焼性を抑えるための組成として使用される例もでてきました.R455Aの中にはR744が3%だけですが含まれています.

あわせて読みたい
R455Aってどんな冷媒? どんなところに使われているか R455Aはハネウェル社のSolstice L40Xという製品名で発売されています. R4...

環境負荷(GWP,ODP)

R744(CO2)のODPは0です.
塩素が使用されていないので0ですね.

R744(CO2)のGWPは1です.というよりこの物質が基準となってGWPが定義されています.

安全性(毒性,燃焼性)

ASHRAE34規格ではA1に属します.
つまり,毒性は無く,不燃です.

特徴(メリット,デメリット)

R744のメリットは毒性も可燃性もないことです.また,給湯機に使用した場合にエネルギー消費効率が良くなることがメリットです.

デメリットとしては,給湯機以外(たとえばエアコンなど)に使用した際にエネルギー消費効率が悪いと言うことが挙げられます.これはCO2の特性上どうしようもないことなので,エアコンなどにはあまり使用されていません.
また,R744は圧力が非常に高い(最大で約12MPa=120気圧)ため,使用する際には十分な耐圧設計をしなければなりません.そのため機器のコストが高くなる傾向にあります.

化学的にはどんなものか

R744は二酸化炭素,CO2と言ったりします.また,化学的にはcarbon dioxideといいます.簡単に以下の表にまとめておきます.

名称 R744
その他の名称 CO2
二酸化炭素
carbon dioxide
GWP 1
ODP 0
分子構造

その他(感想)

二酸化炭素はもともと自然界に存在する自然冷媒です.そのため,今後も使用は規制されることはないと考えられています.給湯機に使用したときは性能がいいんですが,いかんせんそれ以外のエアコンなどの用途には向かないのが残念です.でもR744の物性値は変えられるものではないので,このR744を如何に上手に使いこなすかという研究開発が大事です.