はじめに.
みなさん,「冷媒」と聞いて,
これが冷媒だ!とはっきり言えますか?
たぶん言える人はそうそういませんね.
そんな皆さんになるべく簡単に,
冷媒がどんなものかを理解してもらうために
この記事を書いてみます.
冷媒とはどんなところに使われているか
冷媒なんて聞いたことがないと言う方がほとんどだろうと思いますが,
では実際に身の回りのどこに冷媒が使われているかというと,
一番身近な例は,エアコンです.
エアコンの中には冷媒が入っていて,
エアコンで冷媒をする場合は,
室内の熱を冷媒が奪って,
室外へ熱を捨てることでエアコンが動いています.
他にも色々使われているので,
例を挙げれば切りがないのですが,
たとえば,スプレーの噴射剤に使われていたりもします.
意外と身近なところに冷媒ってあるんですね.
では,どんな物質が冷媒に適しているかと言えば,
冷媒を温めたり冷やしたりしたときに,
液体になったり気体になったりしてくれるものが適しています.
物質が液体から気体になるとき(相変化という),
実は,ものすごい量のエネルギーが必要になります.
これを蒸発潜熱といいます.
液体から気体(気体から液体も同じ)になるときに,
ものすごい量のエネルギーが必要になるのですから,
この熱量を使えば効果的に暖房やら冷房ができます.
どんな種類の冷媒があるか
さて,先ほどの通りに,
冷媒として使用するためには,
液体になったり気体になったりしてくれるといいですね.
では,どんな物質が実際に冷媒に使われているかというと,
細かく挙げればたぶん100以上の種類はあるんですが,
大きく分類すると5種類です.
まず,私が冷媒のことを説明する時は,
以下の様に5つの○をかきます.
4つは小さく,1つは大きく○をかきます.
それぞれ,
・水
・二酸化炭素
・空気
・アンモニア
・炭化水素+α
です.
水,二酸化炭素,空気,アンモニアについては,
取りあえず今回は置いておきます.
なぜかというと,冷媒の中で最も使われているのは,
炭化水素+αだからです.
ですから,この記事では,
この炭化水素+αについて説明します.
炭化水素はそのままでは冷媒としてキケン
さて,炭化水素は,
気体になったり液体になったりしてくれるので,
冷媒には適しているんですが,
だからといって冷媒として使って言い訳ではありません.
だって,炭化水素って燃えますよね.
プロパンガスって言ってガスコンロに使うくらいです.
冷媒としても使用できますが,
冷媒と言うよりむしろ燃料ですね.
燃えます.
この先進国の日本でさえ,
毎年何件もガス漏れ火災が起きていて,
たまに死者がでます.
炭化水素を冷媒として使用するのはかなりキケンだったのです.
(ここまでが1920年くらいまでのはなし)
救世主あらわる.その名はフロン
しかしここで,1930年頃に,
冷媒の世界に革命が起きます.
まさしく革命です.
炭化水素はそれ自体では,非常に燃えやすいのでキケンですが,
部分的にフッ素や塩素を使うことで燃えにくくなるのではないかと考えたのです.
炭化水素の中の水素Hをフッ素Fと塩素Clで置き換えます.
フッ素と塩素は,化合物になると(それぞれ,フッ化物,塩化物という)
ものすごく安定します.
安定すると言うことは燃えにくいと言うことです.
さて,炭化水素の炭素Cの周りにある水素Hを,
フッ素Fと塩素Clに置き換えました.
とうなったかというと,
安定した燃えにくい夢の物質フロンの完成です.
しかし,この「安定した」という性質が,
後にオゾン層破壊や地球温暖化に影響を与えてしまいます.
これについてはまた今度.
結局どんな冷媒があるのか?
さて,そうすると,結局炭化水素+αのグループには
どんな冷媒があるのでしょうか.
結局このグループは,
炭化水素のなかの水素Hをフッ素Fと塩素Clで置き換える,
と言うことにつきます.
だから,こんな冷媒があります.
現在の所,
この冷媒が主流です.
ですから,炭化水素のなかの水素Hをフッ素Fと塩素Clで置き換える,
という法則性さえ分かってしまえば,
冷媒の90%位は理解したも同然です.
おわりに
現在個別の冷媒について色々とカキまとめている所で,
そちらも合わせて見ていただければ幸いです.
その他にも,なんで冷媒はオゾン層を壊すの?とか,
何で冷媒の温暖化係数は高いの?と言った疑問も今後まとめていきたいと思います.