冷媒解説

R449Aってどんな冷媒?

どんなところに使われているか

R449Aは近年開発された新しい冷媒です.そのため,まだこの冷媒を使用した製品は実用化されていません.

このR449Aという冷媒ですが,ケマーズ社のオプテオンXP40という商品名で売られています.(ケマーズとはデュポンの科学部門が子会社化した会社)

R449AはR404AやR22からの置き換えねらった冷媒です.R22は2020年以降に先進国では製造や輸入が禁止されるため,2020年頃から徐々にR449Aが使用されるのではないかと私は予想しています.R404AについてもGWPが約4000と非常に大きいことから今後は徐々に使用されなくなっていくでしょう.

環境負荷(GWP,ODP)

R449Aは塩素を使用していませんので、ODPは0です.
R449AのGWPは1282です.冷媒の混合で1300を切るように調整されていると予測できますね.

安全性(毒性,燃焼性)

安全性はA1になります.
つまり,不燃で毒性もありません.

特徴(メリット,デメリット)

R449Aのメリットは,不燃性でありながら,GWPがそこそこ低いということです.R449AのGWPは1282です.これ自体は大きい数字ですが,R449AがだいたいをねらっているR404AのGWPは約4000ですので,R404Aから比べるとGWPが約1/3になっています.

世の中にはさらにGWPの低い冷媒もあります.たとえば,R32はGWP675です.しかし,これらのGWPが低い冷媒は,そのほとんど,すべてと言っても過言ではありませんが,微燃性です.わずかに燃えやすい性質です.

しかし,R449AはGWP1282でありながら不燃性を獲得した,というか,不燃性をねらって混合された冷媒と言えるでしょう.しかし,このGWP1282は,依然として大きな数字ですので,将来的にはR449Aには何かしらの規制がかかってくると考えられます.

化学的にはどんなものか

R449Aは混合冷媒です.
そのため,複数の冷媒が混ざっています.

成分は以下の通りです.
私の目線で混合した目的を推定して書いてみました.

冷媒 分子構造 GWP 毒性
燃焼性
mass% 混合した目的(筆者の推定です)
R32 675 A2L 24.3 機器がコンパクトに設計できる.なるべく多く使いたい.
R125 3500 A1 24.7 不燃のため,燃焼性を下げられる.しかしGWPが大きいので最小限にしたい.
R134a 1430 A1 25.7 不燃のため,燃焼性を下げられる.
R1234yf 1 A2L 25.3 GWPが低いので,GWPを下げるために使用

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その他(感想)

まだ実際の冷凍空調機器に使用されていない冷媒ですが,
今後使用されることになればどんどん紹介して行きたいと思います.