冷媒解説

R463Aってどんな冷媒?

どんなところに使われているか

R463Aは近年開発された冷媒ですが,すでに三菱電機がコンデンシングユニットに使用しています.早いですね.

 news.nissyoku.co.jp

特集・FOOMA JAPAN 2018:出展企業紹介=三菱電機
https://news.nissyoku.co.jp/news/detail/?id=HAMADA20180518103337153
 ○小間番号=4L-20 三菱電機(株) TEL:03-3218-2247    * ◆出展内容:コンデンシングユニットから各種システムまで多彩なラインアップを紹介 三菱電機グループは「技術でできる環境改善」をテーマに、グループ総合力と総合電機メーカーの多様なラインアッ…

R463AはR410Aの代替冷媒として作られていますので,今後はエアコンやチラーに使われることが考えられます.

またR463Aはケマーズ社がXP41という製品名で販売しています.

 www.chemours.com

Opteon
https://www.chemours.com/Refrigerants/en_US/interactive-guide/Regulations-Solutions?region=Japan&application=RetailFoodRefrigeration

環境負荷(GWP,ODP)

R463AのODPは0です.
塩素が使用されていないので0ですね.

R463AのGWPは1377です.

安全性(毒性,燃焼性)

ASHRAE34規格ではA1に属します.
つまり,毒性は無く,不燃です.

特徴(メリット,デメリット)

R463Aのメリットは,不燃でありながらGWPを1400以下に落としてきたところです.

コンデンシングユニットなどはたくさんの冷媒を使用するため,燃焼性を非常に気にします.

そこで,R463Aは不燃ですので,安全につかえるわけですね.

しかしながら将来的にはGWP1377と言うのは規制される恐れがあります.

化学的にはどんなものか

R463Aは混合冷媒です.
そのため,複数の冷媒が混ざっています.

成分は以下の通りです.
私の目線で混合した目的を推定して書いてみました.

冷媒 分子構造 GWP 毒性
燃焼性
mass% 混合した目的(筆者の推定です)
R32 675 A2L 36 機器がコンパクトに設計できる.なるべく多く使いたい.
R125 3500 A1 30 不燃のため,燃焼性を下げられる.しかしGWPが大きいので最小限にしたい.
R134a 1430 A1 14 不燃のため,燃焼性を下げられる.
R1234yf 1 A2L 14 GWPが低いので,GWPを下げるために使用
R744
(CO2)
1 A1 6 GWPが低いので,GWPを下げるために使用.不燃であるため燃焼性を引き下げるために使用

あわせて読みたい
R134aってどんな冷媒?どんなところに使われているか R134aは様々なところで使われています。ルームエアコン、カーエアコン、自動販売機、オフィス用エアコ...

あわせて読みたい
R125ってどんな冷媒?どんなところに使われているか R125は,それ自体を単体では使われていません。 R125はその燃えにくさを利用して, 混合...

あわせて読みたい
R32ってどんな冷媒?どんなところに使われているか R32は主に家庭用エアコンに使用されています. 従来,家庭用エアコンの冷媒としてはR410Aが...

あわせて読みたい
R1234yfはどんな冷媒どんなところに使われているか R1234yfは現在はカーエアコンや自動販売機に使用されています. こちらのリンクのように,ダイム...

あわせて読みたい
R744(CO2,二酸化炭素)ってどんな冷媒?どんなところに使われているか R744(CO2)は給湯機,コンデンシングユニット,熱輸送冷媒,スプレーなどの噴射剤に使用されていま...

冷媒の組成なのですが,インターネット上を探してもぜんぜん見つからなかったので,三菱電機の人に聞いてみたところ教えていただけました.ありがとうございます.

その他(感想)

R463Aはなかなか情報が出てこなくて苦労しました.

しかしすでに製品レベルで使用されていると言うのはすごいですね.

冷媒は開発されても,使用されずに消えていく冷媒は無数にあります.

今後に注目ですね.